2009/09/29

月報司法書士9月号 家族法最新判例ノート

第6回   婚姻を継続し難い重大な事由
-うつ病を原因とする離婚請求ー


  離婚全体の約1%に過ぎないものの、裁判離婚においては、内面的にも、外面的にも、すでに崩壊してしまったように思われる離婚の維持を求められることがある。

  名古屋高判平成20年4月8日、夫がうつ病の妻に対し「婚姻を継続し難い重要な事由」があるとして離婚請求を行った事案は、離婚請求の許否につき原審・平成19年3月14日の名古屋家岡崎支判との間で判断が分かれたものである。

夫Aと妻Bは平成13年、Bが妊娠したことをきっかけに翌年婚姻の届出をした。
        ↓                                                              平成15年、Aの実家の近くに転居したが、BはAの母の言動を嫁いびりと感じ、精神状態が不安定となった。
        ↓
BはAに「離婚になる、AとAの母のに慰謝料を請求するかもしれない」などと話すようになり、Bは周囲に促されて精神科を受診したところ、うつ病によるうつ状態と診断された。
        ↓
Aは関係を修復しようと話し合いをしたが、Bが感情的、一方的に非難するなどと感じるようになり、Bを信じる気持ちがなくなってしまった。
        ↓
Bは病状も安定して回復に向かっていたが、平成17年、Aが実家に戻ってしまった。

原審では「AとBとの婚姻関係は既に破綻しており、婚姻関係を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)があり、他方、Aに離婚請求が許されないほどの有責性があるともいえないから、Aの離婚請求は認められる」としたが、名古屋高判は「諸事情を考慮すれば、BとAとの婚姻関係は現時点ではいまだ破綻しているとはいえない。したがって、BとAとの間には、婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとは認められず、Aの本訴請求には理由がない」として原判決を取消し、Aの本訴請求を棄却した。


 一般的にいって、婚姻関係の客観的な破綻が認定されれば、その事実は、身分方における事実先行の性格から当然に法的評価の対象となりえてしかるべく、事実 にまで引き上げることができるとの見方もある。このように考えると、民法770条1項5号の解釈として、積極的破綻主義の考え方を採用することは、決して許されないことではないと思われる。

 破綻の認定は、当事者の疎隔の深さ、婚姻関係の修復が不可能なことを示唆する程度の相当期間の別居を有力な認定の材料とすべきである。この点において、改正案要網に示された5年という年月がどのような意義をもつのか、さらには、離婚事由の定型化(一定期間の別居)にむけた議論を、現代の社会通念・常識に照らし合わせて再検討する必要があろう。


 私も個人的にはAとBとの場合、離婚は成立しなかったが、これからの婚姻関係を維持していくのは難しいと思われる。

請求を棄却した事由の中に「今後Bのうつ病が治癒し、あるいはBの病状についてのAの理解が深まれば、BとAの婚姻関係が改善することも期待できるところである」とあるが、一度、離れてしまったAの気持ちがBに向き、さらにBを信用できなくなった原因の一つでもあるうつ病についての理解が深まるとは思えない。

こういった場合、裁判官の主観的な判断の入る余地が大きいと書いてあるが、裁判官には主観的な判断だけではなく、色々な状況をふまえて判断してもらいたいと思う。

                                                  kuma

2009/09/18

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不動産に抵当権、根抵当権が設定されている場合にその不動産を含めた事業を事業譲渡する場合と分割譲渡する場合とに分け、これを譲渡する者が担保権者の場合と債務者の場合とで解説されています。忘れかけている方には再度理解するのに、当然に理解されている方には念のための確認に有効だと思いました。

沢田